交流回路を学ぼう
電気回路 第5章 ── アニメーションとインタラクティブな体験で、 ゼロから交流回路を完全マスター。
この教材の使い方
各セクションにアニメーションとスライダーがあります。動かして直感的に理解しましょう。
全30問。正答後に解説が表示されます。
R・L・C の値を変えてインピーダンスや位相がどう変わるか確かめましょう。
交流の発生と表し方
電池(直流)と違い、交流は電流の大きさと向きが時間とともに変わります。
家庭のコンセントも交流です。ここでは「交流とは何か」を基礎から学びます。
1. 直流と交流の違い
直流(DC)
電流は常に同じ向き・同じ大きさで流れる。
例:電池、USB充電器
交流(AC)
電流の大きさと向きが周期的に変化する。
例:コンセント(50Hz または 60Hz)
2. 正弦波交流のアニメーション
コイルを磁界の中で回転させると、e = Em sin θ という正弦波の起電力が発生します。
3. 周波数・周期
周波数 f [Hz]:1秒間に波形が繰り返される回数。
周期 T [s]:波形が一つできる時間(1回の繰り返し時間)。
・東日本(東京電力管内):50 Hz(T = 20 ms)
・西日本(中部・関西〜):60 Hz(T ≒ 16.7 ms)
4. 角周波数(角速度)
コイルは1秒間に f 回転します。1回転 = 2π rad なので:
ωを角周波数といいます。これを使うと起電力の式は:
φは初位相(t=0 のときの位相角)です。
5. 瞬時値・最大値・平均値・実効値
| 名前 | 記号 | 意味 | 計算式 |
|---|---|---|---|
| 瞬時値 | e, i | ある瞬間の値 | e = Em sinωt |
| 最大値 | Em, Im | 波形の頂点の値 | — |
| 平均値 | Eav | 半周期の平均 | Eav = (2/π)Em ≒ 0.637 Em |
| 実効値 | E, I | 直流と同じ仕事をする値 | E = Em/√2 ≒ 0.707 Em |
📝 確認問題
実効値が 200V のとき、最大値はいくつか?
答えを見る
位相差とベクトル(フェーザ)
交流では大きさだけでなく「位相(タイミング)」も重要です。
ベクトル(フェーザ)を使うと、計算が簡単になります。
1. 位相差とは
同じ周波数の2つの交流が「どれだけタイミングがずれているか」が位相差です。
e₂ は e₁ より θ [rad] だけ位相が進んでいるといいます。
2. 回転ベクトル(フェーザ)アニメーション
角速度ωで回転する矢印(ベクトル)のY成分が、交流の瞬時値を表します。
3. ベクトルの座標表示
直交座標表示
ベクトルの終点を (a, b) で表す。
a:実部(横軸成分)
b:虚部(縦軸成分)
極座標表示
大きさ A と角度 θ で表す。
A = √(a²+b²)
θ = arctan(b/a)
4. ベクトルの足し算
2つのベクトルの合成は、各成分を足し合わせます。
大きさ C は:
R・L・C それぞれの交流回路
抵抗(R)・コイル(L)・コンデンサ(C)を単独で交流電源につないだとき、 電流と電圧はどんな関係になるでしょうか?
1. 抵抗 R だけの回路
抵抗だけの回路では、電流と電圧は同位相(ズレなし)。
電流の実効値:
2. コイル L だけの回路(誘導性リアクタンス)
コイルには誘導性リアクタンス XL という「交流の抵抗のようなもの」があります。
コイルの回路では電流は電圧より π/2 rad(90°)遅れる。
3. コンデンサ C だけの回路(容量性リアクタンス)
コンデンサには容量性リアクタンス XC があります。
コンデンサの回路では電流は電圧より π/2 rad(90°)進む。
まとめ表
| 素子 | リアクタンス / 抵抗 | 電流と電圧の位相差 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 抵抗 R | R [Ω](周波数に無関係) | 0(同位相) | 熱に変換 |
| コイル L | XL = ωL(周波数が高い → 大) | 電流が 90° 遅れ | エネルギー蓄積・放出 |
| コンデンサ C | XC = 1/ωC(周波数が高い → 小) | 電流が 90° 進み | 電荷蓄積・放出 |
直列・並列回路とインピーダンス
R・L・C を組み合わせた回路を考えます。インピーダンス Z は「交流における総合的な抵抗」です。
1. RL 直列回路
抵抗RとコイルLを直列に接続した回路。電流を基準(i = I sinωt)に考えます。
インピーダンス角(電圧と電流の位相差):
2. RC 直列回路
3. RLC 直列回路
3つすべてを直列接続。XL と XC は互いに打ち消しあいます。
共振(直列共振)
XL = XC のとき → (VL−VC) = 0 → Z = R(最小)
4. 並列回路
並列回路では各素子に同じ電圧がかかります。電圧を基準に考えます。
| 回路 | 合成電流の大きさ | インピーダンス Z |
|---|---|---|
| RL 並列 | I = √(IR² + IL²) | Z = V/I |
| RC 並列 | I = √(IR² + IC²) | Z = V/I |
| RLC 並列 | I = √(IR² + (IC−IL)²) | Z = V/I |
5. インタラクティブ:RLC 直列インピーダンス計算機
交流回路の電力
交流回路の電力は直流と異なり、電圧と電流の位相差が影響します。
1. 瞬時電力
ある瞬間に消費される電力:
第1項は一定値(有効電力)、第2項は時間的に変動する成分です。
2. 有効電力・皮相電力・無効電力
有効電力 P [W]
実際に消費(熱など)される電力。
皮相電力 S [V·A]
見かけの電力(電圧×電流)。
無効電力 Q [var]
コイル・コンデンサで蓄放されるだけの電力。
3. 力率(Power Factor)
力率は0〜1の値を持ちます。
- cosθ = 1(θ=0°):R だけの回路。すべて有効電力。
- cosθ = 0(θ=90°):L か C だけの回路。すべて無効電力。
- 0 < cosθ < 1:一般的なRLC回路。
4. 電力三角形アニメーション
🎯 練習問題
全 15 問。各問の選択肢をクリックして答えてください。
🔬 RLC 回路シミュレータ
R・L・C と周波数を自由に変更して、波形・フェーザ・インピーダンスをリアルタイムで観察しましょう。